2019年11月22日に開院してから2年が経ちました。いまだにジリ貧状態が続いている当医院では、3周年が無事迎えられるかどうかもわかりませんが、なんとかここを脱して軌道に乗せられるように挑み続けて行きたいと思っています。なかなかこうした状況では盛大にお祝いといったムードではないので、1人ささやかにプチ贅沢をしてみようと考えてみました。
ここ浄明寺(地名)にある浄妙寺(お寺の名前)には、喜泉庵という枯山水庭園を眺める店内で和菓子と抹茶のセットが楽しめる喜泉庵というお茶屋さんがあります。そこに「水琴窟」があるんです。そこで「水琴窟」目当てで、昼ごはんを食べた後に和菓子のデザートでもと思って喜泉庵に行ってみました。(これをプチ贅沢というのかどうかは賛否あると思います)このブログを読んでくださっている方は「水琴窟」ってご存知でしょうか?これはつくばい『蹲:日本庭園の添景物の一つで露地(茶庭)に設置される。茶室に入る前に、手を清めるために置かれた背の低い手水鉢に役石を置いて趣を加えたもの。手水で手を洗う時“つくばう(しゃがむ)”ことからその名がついている』の下に、植木鉢のような、底に孔のあいた瓶を逆さまに埋める。つくばいからこぼれて流れてきた水が、この孔から入って瓶の中に水滴となって落ちると、音が鳴るという仕掛けです。江戸時代に庭園の設備として用いられるようになり、明治時代には盛んに用いられたようですが次第に廃れていったそうです。茶室に入る前にわざわざしゃがまなければならない手を清める場所を作るのもすごいですが、そこに澄んだ音の鳴る仕掛けを作るという・・・日本人の感性ってすごいなあと感心してしまいました。ちなみに客人が這いつくばるように身を低くして、手を清めるのは茶道の習わしで、そこは茶室という特別な空間に向かうための結界としても作用するそうです。
この「水琴窟」の“音”を聞いてきたのですが、非常に表現が難しい音です。澄んだ音には間違いないのですが、綺麗なとか楽しいとか落ち着くといった表現では当てはまらないような、強いて言えばこの世の音ではないような音?と言ったら良いのでしょうか?理屈を述べれば瓶の内部空間には固有振動(一種の残響)があり、特定のいくつかの周波数の音だけがよく響く性質がある。そのため水滴の滴る音の中の、いくつかの周波数成分だけが、瓶の固有振動によって強調されてよく響き、その結果澄んだ響きに変わるのである。→「音のなんでも小事典」日本音響学会編BLUE BACKSより抜粋。なのですが・・・・・なんと言っても不思議な(この世の音ではないような音)心地よい音がします。音声ファイルで京都の円光寺、大阪の黄梅寺、岐阜の華厳寺などの水琴窟を聴き比べてみましたが、中でも浄妙寺の水琴窟はかなりいい音を出している方ではないかと思います。YouTubeなどでも聞くことができるようなのでぜひどんな音なのかを確かめてみてください。人をもてなすことの本質を考え研ぎ澄まして行くことが茶道であるならば、「水琴窟」もおもてなしの精神の一つなのかもしれません。
ちなみに(パート2です)お昼ごはんは吉野家の牛丼並もりBセットだったのですが、今日テレビで苦渋の選択で値上げに踏み切ったという話を聞いて、どれくらい上がったのかな?と思っていたのですが588円でした。あのいつもの安定した美味しさで、値上げしたと言っても588円・・・庶民の味方「吉野家」がんばれ!