鎌倉薪能2021

2021年11月18日 15:55

今年の鎌倉薪能も新型コロナの影響で、昨年と同様に無観客で行われたのですが、YouTubeにて11月12日から無料配信されています。(検索してみてください)
今年の第63回鎌倉薪能は以下のようになっています。

1素謡「翁」
現在では正月や祝賀能など、特別な講演の時にしか上演されない演目。演劇的な筋立てはなく、儀式性が強い祝賀の曲。

2狂言「呼び声」
主人に無断で旅に出かけ、こっそり帰ってきた太郎冠者に腹を立てた主人は、次郎冠者をお供に連れて、お仕置きをしに太郎冠者の私宅へ出向く。しかし、太郎冠者は居留守を使い姿を見せようとしないので、主人と次郎冠者は、あの手この手を使って太郎冠者を誘き出そうとするのだが・・・・

3能「猩々」
中国の古い話。高風というとても親孝行な酒売りがいました。彼は、酒が湧き出る不思議な壺を猩々からもらい、大金持ちになったため、月の美しい夜に酒を持って猩々を待っていると、猩々が海中より浮かび上がってきて、再開を果たします。2人は再会を懐かしみ、お酒を飲んで楽しく舞い遊びます。「祝言」としてよく演じられる演目。

今回は野村萬斎さんが演じられている狂言も含まれているようなのですが、そのそも能楽とは秦河勝(7世紀に活躍)という人が「六十六番のものまね」を創作して聖徳太子の前で舞わせたものが「申楽」(猿楽)のはじまりとされ、江戸時代までは猿楽と呼ばれていたものが、明治時代から能楽と呼ばれるようになり、能、式三番、狂言の3種の芸能を総称して能楽というそうです。能楽の上演形式では「翁」を冒頭に能5曲とその間に狂言4曲を入れる構成が、正式な演じ方であり、能は超自然的なものを題材にした歌舞劇のことで、狂言は実世界に題材を求めた世俗的な科白劇とのこと。演目こそ少なくなっていますが、正式な上演形式に近い形になっています。

狂言はセリフも現代に合わせてわかりやすくアレンジされているのでしょうか、ストーリーがわかりやすくより現代の劇に近い印象があります。能は儀式性が強いというか、古典的なもを継承することに力点を置いている印象があります。特に能の「翁」は神聖な謡の響きは、祈りというのでしょうか僧侶が行う読経のような響きを感じる時があります。(心地よく眠くなる感覚もありますが)

今後機会があれば、ぜひ一度生で観てみたいと思っています。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)