「永遠の0」2013年山﨑貴監督を観ました。2006年に出版された百田尚樹さん原作の同名小説を元にしています。小説の文庫本は300万部を超え、映画は累計興行収入86億円を突破しているそうです。戦争を題材としている映画を観るとき、特に一軍人の人生にスポットを当てていて、取材や詳細な時代考証などを経ているにせよ、フィクションである場合には少し注意が必要なのではないかと思っています。一個人に焦点が当たっているために戦争の全体像や流れ、戦争は何故起こったのか、日本の軍隊という組織は何故これほどまでに人命軽視に陥ったのか、特攻作戦などという史上最悪の作戦を何故するに至ったのか?そう言う部分が見えにくくなってしまうかもしれないと頭に入れながら観る必要があると思っています。Wikipediaでは色々な分野の方々から色々な肯定的な意見や逆に否定的な意見があることを知りました。小説は読んでいませんのでなんとも言えませんが、私はこの映画で山崎監督は特攻隊を美化しようとしているようには思えませんでした。どちらかといえば人命軽視の軍に最後まで抵抗を続けた男の物語として観ました。しかし最後の搭乗機を直前になって交換するくだりは、あまりにできすぎていて(取材の結果でそういった実話が存在した、のではないようなので)戦争、特に特攻について描く場合には作りすぎ感は否めません。(もう少し抑制的だったほうが良かったのでは)
映画全体では「生きる」をテーマにしていますし、死んでお国に貢献するのが当たり前と言われている時代に、体を張って信念を貫き人命軽視に抵抗を試みた男、戦争が終わった後の祖国の将来を案じ1人でも生きて復興の力となってほしいと願っていた男、そういった人物でさえ死んでいかなければならなかったことは当時としては事実だったと思いますので、改めてあの戦争とは・・・あの時代の日本とは等・・・色々考えさせられました。