「エコノミック・ステイトクラフト経済安全保障の戦い」は多摩大学大学院教授・ルール形成戦略研究所所長の國分俊史博士が書いた本です。エコノミック・ステイトクラフトとは経済ツールを活用して地政学的国益を追求する手段を言うのだそうです。博士はこの本の中で、自国の経済の繁栄を目指した戦いは、技術、資金、人材の奪い合いであり、これらを有する企業の競争優位の確立が主戦場になる。これまで、経営者は自らの意思で競合を定義し、当然ながら競争相手は経営者であった。しかし、経済戦争の下では、経営者の競争相手は国家となる。競争相手の企業に国家が政策的後ろ盾を与える、もしくは自社の競争力を削ぐために想像を超える制裁を科すなど、競争への国家の関与や、競争のルールを国家が革新することによって自国企業の優位を確実なものにする戦いだとしています。(表紙裏解説抜粋)またこうした経済安全保障のリスクを日本企業の多くは認識していないとしています。武力行使を基本とする戦争は今現在でも、地域紛争や内戦などのニュースで観ることができますが、経済やサイバー空間での戦争は当たり前ですが、ある限定された一定の地域ではなく、世界中のあらゆるところで、しかもあまり目につかない水面下で起こっているのだと、薄々は分かっていたのですが、改めて現在進行形であることを認識させられました。すでにアメリカをはじめとする欧米各国や中国は経済政策やサイバーセキュリティーの分野を安全保障の観点から捉え直して戦略を立てているそうです。何でもかんでも〜戦争とか安全保障上の観点からというと気が滅入りますが、これが現実なのだと改めて感じます。
安全保障、国際ルールとは、多国間の枠組みとは?等々・・・・・考えさせられる内容でした。