ホテルローヤル

2021年06月18日 15:24

「ホテルローヤル」は桜木紫乃さんによる第149回直木賞を受賞している小説で、その後2020年には武正晴監督、清水友佳子さん脚本で映画化されています。武正晴監督は「パッチギ」「嫌われ松子の一生」などの助監督時代を経験後、最近ではNetflix「全裸監督」などで監督をされています。脚本の清水友佳子さんは「リバース」TBS「エール」NHKなどで多くのテレビドラマの脚本に携わっています。

釧路の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く・・・・。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7篇。原作の桜木紫乃さんは「ホテルローヤル」の舞台となっている釧路市出身で2007年に単行本デビューをされているので40歳を超えてから本格的に作家として活動されている方だそうです。Wikipediaによると、作品のほとんどは北海道、特に釧路市周辺を舞台としており、実家は理容室であったが、15歳の時に父親が釧路町に「ホテルローヤル」というラブホテルを開業し、部屋の掃除などで家業を手伝っていたという経験が性愛への冷めた視点を形成したといわれ、「ホテルローヤル」をはじめ、いくつかの作品に同名のラブホテルが登場するとのこと。

小説が映画化されている場合、小説を読んだ後に映画を見るパターンと、映画を見てから小説を読んでみるパターンがあるのですが、今回はその他の多くのパターンと同様に小説を読んでから映画を観ました(逆のパターンは個人的にはレアなケースです)。今回の場合、小説を読んでから間を置かないですぐに映画を観たために、登場人物の背景などを、小説の中からの情報で勝手に補ってしまい、映画をストレートに観た時に、頭の中で男女の関係や背景を想像してみるところを、省略してしまうような感覚がありました。そう考えるとすこし時間を置いてから映画を観た方が、より映画の良さを感じられたのではと思います。

「ホテルローヤル」は7篇の短編の時系列がだんだん過去にさかのぼって行くように構成されていて、脚本の清水さんは結構苦労されたのではないかと思います。小説の最後の1篇「ギフト」、映画のラストの数分間、どちらも好きな所です。小説、映画ともにおすすめなので是非・・・・。

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