「ジョン・ボルトン回顧録」(原題「The Room Where It happened」)は2020年に出版され、トランプ政権において、国家安全保障担当大統領補佐官であったジョン・ロバート・ボルトン氏による、在職期間453日間の政権内部の記録です。ボルトン氏は、1970年にイエール大学を最優等で卒業し、同大学ロー・スクール修了(法務博士Juris Doctor)、ジョージ・W・H・ブッシュ政権で国務次官補、ジョージ・W・ブッシュ政権で国務次官と国連大使を務めた後、2018年4月から2019年9月までトランプ政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めた共和党の中でも保守強硬派で知られている方です。大統領補佐官になる前からいずれ政権内部を記録した本の出版を意識されていたのでしょうか?ものすごい数の人物が色々と登場してきますが、発言内容まできちんと一言一句間違わないように記録していたと思われ、文章を読んでいるともともと法律家の方なので、とても詳細で客観的に事実を書こうと気をつけているように見受けられます。官僚や大統領補佐官を務めるためにはこうした資質が必要なのかもしれません(日本の官僚の方も克明にメモをとるという話を聞きます)。ボルトンさんというとタカ派と言われ強面なイメージがありますが、考え方が保守強硬派であることを一旦脇に置いて読んでみると、視野の広い判断は粘り強く冷静で、法律家としての規律を大切にしている面が出ているのですが、トランプ大統領にあらゆるところで翻弄され続け、どっぷり落胆したり、キレかかったり(実際はキレれていることもあったのだと思いますが)、危機が回避できて喜んだりしているところはちょっと意外でした。実際に会ってみたらジョーク好きの普通のおじさんっぽい面があるのかも・・・。
なかなか日本ではこうした政権の内幕を記した本は出版されないと思いますが、やはり物事が起こっている現場で見て聞いていた記録は貴重だと思います、500ページを超えてちょっと読み応えのある本ですがおすすめです。