市民の反抗

2021年05月07日 09:00

先日5月3日は憲法記念日でした。だからという訳ではないのですが、偶然なのですが「市民の反抗」H.Dソロー著を読んでいました。ソローは奴隷制度をめぐって、5つの重要な「社会改革論文」を書いており、その最初に来るのが「市民の反抗」であり、1848年故郷のコンコードの文化協会で「国家に対する個人の権利と義務」と題する公演をおこない、公演原稿は「市民政府への反抗」の題名で1849年に「エステティック・ペイパーズ」に発表されているそうです。
この論文の内容は解説文を引用させていただくと、『あらゆるタイプの国家に生じ得る、政治的不正にたいする個人の責任と、政治的権威に従う義務とのあいだの相剋である。ソローの論旨は2つに要約でき、第1に連邦政府あるいは州政府の法律や政策が、個人の良心ーより高い道徳的法則ーと矛盾をきたすような場合には、前者よりも後者の方が尊重されるべきである、第2に政府が著しく正義の観念にもとるような「暴政」に走った場合には、市民は納税拒否といった平和的な手段に訴えて政府に抵抗する権利を有する、ということである』1776年に独立宣言によってアメリカはイギリスから独立してまだ62年、奴隷制度に対して個人の良心をもとに政府へ抵抗を試みたソローの思想が記されています。時代背景を考えれば当時の州政府に対する抵抗は、独立宣言に記された革命権と繋がっているように思えます。
日本国憲法でもアメリカの独立宣言の影響が見られる条文があります。第三章国民の権利及び義務の中の第十三条であり、「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と記されています。コロナ禍において“個人の権利の制限”は仕方のない状況になっていますが、個人の権利と義務、個人の責任について考えさせられました。

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