武漢日記

2021年04月10日 08:48

「武漢日記」方方著は、読みたい人が多く順番が回ってくるまでだいぶ待たなければならなかったのですが、昨年9月に予約してから7ヶ月待ってやっと借りることができて、昨日一気に読み終えました。(鎌倉図書館ではだいぶ人気があるようです)「武漢日記」は中国の作家方方さんによる、同国武漢で新型コロナウイルス感染症の流行を阻止するためのロックダウン期間中の、人々の生活を綴ったオンライン日記です。なんの通知もなく突然削除されるといったことが何度もあったようで、日記の中には「たとえ書くたびに削除されても、私は書く」と何度削除されても黙々と実直に書き綴った様子が記されています。慌ただしくロックダウンされたために、本来は政府が責任を果たし対処すべきだった問題の綻びを、無数のボランティアがカバーしている様子だったり。感染症がいつ終息するかは未知数なので、身近な人が亡くなった無数の個人の悲しみは凝り固まって、時ほぐせないしこりになるかもしれない。だったら、心の悲しみを吐き出し、大泣きできるネット空間を作ったらどうだろう?といった提案だったり。事が起こっている中にいなければ発信できないような(しかも日記は毎日リアルタイムで)内容となっています。やはりこうした感染症の中心とも言える現場の生の記録は、後々にいろいろな角度から検証するといった意味でも大変重要な情報なのではないかと感じています。中でも一番気になったところは、湖北省や武漢市の地方政府の初期対応は問題があったのではないかとの部分でした、ここはきちんと検証して今後の教訓としなければならないと思います。感染症は初動の数日の遅れによって、世界中に広がるか封じ込められるかの違いが生じる場合があります。この問題も含めて今後のWHOの調査に期待したいと思います。

最後に一部を抜粋したいと思います、“我々人類は傲慢になってはいけません。尊大になってはいけません。自分はこの世界で無敵だと思ってはいけません。最も小さなもの、例えばウイルスの破壊力を軽視してはいけません。ウイルスは人類共通の敵です。この教訓は全人類のものです。人類は連携して初めて、このウイルスに打ち勝ち、このウイルスから自由になれるのです。”

もちろん日本も他人事ではありません、感染症とどう戦うかを考えさせられます。一人一人がどうすべきか考えなければならな時が来ているのだと思います。

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