スパイの妻

2021年03月19日 08:50

「スパイの妻」を観ました。2020年NHK BS8Kで放送されたドラマで、2020年に劇場用映画として公開され、第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門銀獅子賞(最優秀監督賞)を黒沢清監督が受賞しています。作中に登場する昭和初期の街並みは、大河ドラマ「いだてん」のオープンセットをそのまま使って撮影されたそうです。もともとドラマとして撮られたからでしょうか?カメラが動いて撮影しているシーンが比較的多かったような気がします。だいたいのあらすじはこんな感じです。太平洋戦争開戦を控えた1940年、国家総動員法下、貿易商という職業柄当局に目をつけられながらも、貿易会社を営む夫(福原優作)と何不自由なく暮らす妻聡子。ある時満州に出かけ、国家機密に関する証拠を入手し、それを使った優作の国を揺るがす計画を知った聡子は“スパイの妻”と罵られる覚悟で夫と運命を共にする決意を固め、計画を成功させるために変わってゆくが・・・・。詳しくは映画をご覧になってください。1940年といえば(世界は激動の1年だったのではないかと思います)幻の東京オリンピックが開かれる予定だった年ですが、そのほかに立憲民政党の斎藤隆夫(1938年制定の国家総動員法反対演説も行なっている)が反軍演説により衆議院議員を除名されています。ドイツ軍がオランダ・ベルギー・ルクセンブルク・フランスに侵攻、ダンケルクの戦いがありました。杉原千畝副領事の大量ビザ発行があった年でもあります。日本軍、フランス領インドシナ北部に進駐。日独伊三国軍事同盟成立。大政翼賛会発会式。敵性語追放など戦争にひたすら突き進んでいるような印象を受けます。

今年開かれる予定の東京オリンピックが無事開かれることを願うと共に、平和であることの意味を考えさせられる作品でした。

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