「顔」の進化ーあなたの顔はどこからきたのかーを読みました、著者の馬場悠男博士は人類形態進化学を専門とする人類学者でNHKスペシャルなど多くの科学番組を企画・監修したり、国立科学博物館の特別展なども企画している方です。顔とは何か?動物の顔の進化から人類の顔の進化まで、人類学的見地から「顔」について読み解いており、日本人の顔のルーツから未来の日本人の顔まで、「顔」についての話題が盛り沢山に詰まった内容となっています。
中でも面白いなあと思ったところを抜粋させてもらいますと、眼瞼裂が大きいヒトの眼では、「白眼」がいつも露出しているが、多くの動物は、「白眼」はほとんど見えない、野生動物にとっては視線の方向を隠すため(敵に視線の方向を悟られないため)であるが、ヒトでは、白眼の露出により視線を明らかにすることによって、相手に注目していることを示し、個体同士の社会的関係維持していると解釈されている(人間同士で仲良くすることの利点を選んでいる)。
またヨーロッパ人は鼻が高く隆起し、頬が引っ込んでいるので、横顔でも個体識別することが可能である、しかしアジア人は、稀な例外はあるが、一般に横顔では個体識別ができない。横顔を表す言葉は、英語なら「profile」であり、実際の横顔だけでなく、その人物の実像や特徴を示してもいる。しかし日本では、「横顔」という言葉には正面からは見えない意外性のある側面、あるいは付加的な一面と言う意味がある。洋の東西で横顔の意味はずいぶん違うのだ。
などなどの“へー・・・・そうなのか・・・・”と感心してしまうネタが満載で、この本はおすすめです。
この本の帯には、あなたの顔に刻まれている、そうした進化の意味を知れば、自分の顔をもっと慈しめるようになるかもしれないとあるのですが、芸能人でもなければなかなか自分の顔に自信を持つことは難しいですよね・・・。私もかなり残念な方なのでコンプレックスから抜け出すのは難しそうです(まあ顔についてどうこういう歳でもないですが・・・)。「ニカっ」と豪快に笑う顔が似合うトータス松本さんのような顔は憧れだなあ・・・・。