「お金の流れで読む日本の歴史」という本を読みました。著者の大村大次郎さんは元国税調査官で税金・会計関連の著書が多数あるフリーライターの方です。歴史上の謎を“お金の動き”を読み解くことで日本史の全体像を解説していて、わかりやすくてすっきりと頭の中に入ってくる面白い本でした(一気に読めるくらいの厚さなのもちょうど良い感じでした)。一部内容を紹介すると・・・伊豆に20年も流されていた源頼朝が、どうして多くの武士を集結させてわずか4年余りで平氏を滅亡に至らしめることができたのか?。戦国時代、布教に訪れたキリスト教の宣教師たちの莫大な資金はどこから出ていたのか?キリスト教を容認して手に入れる貿易の利権とは?どうして江戸の町民には税金が課せられていなかった?どのように日露戦争の戦費を高橋是清は調達したのか?在米日本資産の凍結はアメリカによる事実上の宣戦布告?などなどお金にまつわる面白い話題がいっぱいです。ただ一番印象に残ったところは歴史にまつわる部分ではなくて、現在の日本を分析している最後の章となっている“あとがきに代えて”の部分でした。グローバル・ウェルス・レポートによると、2004年には134万人だった日本の億万長者は、2013年には265万人にほぼ倍増している。要するに格差が拡大している・・・・・。富める者がより富めば経済は良くなるトリクルダウンの理屈では、富裕層の金融資産が増えるばかりでデフレも格差も解消せず経済は良くならない。『特定の人たちだけが潤うような世の中は、必ず長続きしない』ということに早く気がつくべきである。
国税調査官だった方の話なので重い言葉だと思います・・・・・。
今年も確定申告の季節がやってきましたが、この季節には税金について毎年考えさせられます。