クイーンズ・ギャンビット

2020年12月26日 08:49

茂木健一郎博士が「絶対見た方がいい!」とYouTubeで大絶賛していて、確かオバマ元大統領がツイートしていた2020年映画・TVシリーズベスト20にも入っていたと思います「クイーンズ・ギャンビット」をNetflixで観ました。この物語は東西冷戦期1950年代の児童養護施設で、人並外れたチェスの才能を開花させた少女が、依存症に苦しみながら、想像もしていなかった華やかなスターへの道を歩いてゆく話です。当時のアメリカがよく再現されているようで映像が綺麗でおしゃれな印象を受けます(生まれる前のことなのでリアルタイムで見たことがあるわけではないのですが)。見所は色々とあるのですが、なんと言っても最終話の第7話は1番の見どころになっています。モスクワでの国際大会に乗り込み、二度負けている強敵ボルゴフ決勝で対戦するベス・・・これまで色々と人生経験を積んで大人になった彼女は勝つことができたのか?・・・ぜひ観てもらいたい作品です(宣伝文のようになってしまいましたが)。当時の時代的なものなのか、ただ私のアンコンシャス・バイアスなのか、アメリカは個人主義の国なのでチーム戦が不得意なイメージがありますが(特に個人競技では)、今までベスと対戦したチェス仲間たちがアメリカチーム一丸となって戦うところなどは、新鮮なイメージではないかと思います。なんと言っても印象に残っているのは、薬物と酒に頼っていた、ここぞの勝負どころで降りてくる“ひらめきの一手”を、ベスはどちらにも頼らず自ら繰り出すのです。今までの成長の過程で色々な人と出会い、色々な人の思いを知ったベスはその思いを自らの力に変えることで(思いを背負うことに腹を括ったと言っても良いと思います)、自分の限界を超えることができたのではないでしょうか。他人の思いを合わせて飲み込むくらいに成長しないと、自分の限界を超えることは難しいのだと感じます。ただ勝負が終わった後にベスがモスクワの街を軽やかに歩く姿は、思いを背負った事のある人でないと味わえないものなのかもしれません。

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