井筒俊彦博士をご存知でしょうか?東京府出身ですが、鎌倉に住んでいた方で、文学博士、言語学者、イスラーム学者、東洋思想研究者、神秘主義哲学者、日本学士院会員(日本学術会議ではありません)等色々な肩書を持った方で、大部分の著作が英文で書かれていることもあり、日本国内でよりも欧米において高く評価されているそうです。今回井筒博士が書いた「コスモスとアンチコスモス」という本を読むまで、恥ずかしながら知りませんでした。アラビア語、ペルシャ語、サンスクリット語、パーリ語、ロシア語、ギリシャ語等の30以上の言語を流暢に操ったようで、司馬遼太郎さんは二十人ぐらいの天才が一人になっていると語っています。とてつもなくすごい話ですが、慶應大学在学中に神田の夜学でヘブライ語、ドイツからアラビア語の教科書を取り寄せてアラビア語、同時にロシア語、古典ギリシャ語、ラテン語など1度に10の言語を学び「新しい外国語を習得する時は、その国の大使館のスタッフを自宅に下宿させた」という有名な伝説も持っているらしいです(大使館のスタッフの下宿の件については、ご本人は否定している)。2018年にはThe Easternというドキュメンタリー映画となり、2019年にはHNK BS1でドキュメンタリー番組が放送されています。鎌倉は作家、映画監督、俳優など有名な方が数多く住んでいることはこれまでのブログにも書いてきましたが、世界的に有名な学者の方も住んでいたとは知りませんでした。「コスモスとアンチコスモス」はスイスでの講演録「禅的意識のフィールド構造」という第5章を読みたくて買ったのですが、1冊全部を読み通すと、表紙の紹介文にもありますが、全体を通して東洋思想の諸伝統、多様なる哲学間に共通するものを探して、東洋哲学の新たな可能性を立ち上げ、、イスラーム、禅仏教、老荘思想、華厳経を時間論、存在論、意識論の観点から読み解いているものとして読み応えのある本でした(かなり難しかったです)。今後は「意識と本質」「意味の深みへ」なども読んでみたいと思います。
ちなみに現在は哲学つながりで、アンリ・ベルクソンの「物質と記憶」にチャレンジしています。