Black Lives Matter

2020年06月25日 15:17

「黒い司法 0%からの奇跡」という映画を観ました。黒人差別のまだ根強かった1980年代のアラバマで、ハーバード大学ロースクールを卒業し、弁護士資格を取得したばかりの黒人弁護士が、犯してもいない罪で死刑を宣告された黒人男性の無実を証明してゆく実話をもとにした物語です。実は主人公の弁護士とはほぼ同世代なのですが、1930年代のアラバマ物語の時代や1950年〜1960年代の公民権運動の時代とはだいぶ時代が変わっているので、大学を卒業した当時これほど明確な人種差別が根強く残っていたとは思いませんでした。それから30年近く経っていますが、今こそこの作品はぜひ多くの人に観てもらいたいと思います。

黒人男性を白人警察官が死にいたらしめた事件でアメリカでは現在もBlack   Lives  Matter運動【黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える国際的な運動】が広がりを見せていますし、自分自身もアジア系人種(黄色人種)としてコロナウイルスの件では人種差別される側であり、他人事ではないと考えさせられます。日本に日本人として生活していて人種差別を感じることはほとんど無いのですが、差別という点ではおそらく世界中どこでも起こりうる可能性があります。この映画の中でも黒人対白人という分かりやすい対立の構図だけではなく、もう一つのテーマになっていると思うのですが、差別というのはもっと複雑で単純には割り切れないもののようです。

自分たちの仲間の間では利益を分配して、助け合ってうまく絆を深めてコミュニティーを維持している場合、利益が相反しなければその他の世界とはうまく共存しているように表面上見えるのですが、一度仲間内の利益に反することが起きれば「仲間」と「それ以外の人」といった区別から始まって、組織を守る場合であったり利益を独占したい場合など、公正とは程遠い差別といったことがまかり通ることがある。似たようなことは大人であれば誰でも一度くらい経験したことがあるのではないでしょうか。特に権力を手にしている側にいるものが、差別意識を持っている場合非常に危険であると考えさせられる作品でした。

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