鎌倉文学館

2020年06月12日 08:50

昨日長谷寺を訪ねた後、近くにある鎌倉文学館も訪ねてみました。鎌倉ゆかりの作家、詩人、俳人、評論家などの文学資料の保存や展示などを行なっており、公益財団法人鎌倉市芸術文化振興財団によって運営されています。建物自体が歴史的価値の高いもので、元々加賀藩15代当主前田利嗣氏が土地を購入して和風建築の別邸を建てたところから始まり、焼失や建て直しなどを経て第16代当主前田利為氏が現在に残る洋館を完成させました。後に鎌倉市が寄贈を受け、1985年から文学館として活用されることとなりました。2000年に国の登録有形文化財に指定され、洋風のデザインを導入している一方、切妻屋根と深い軒出、和風デザインも見られて、独特な外観になっており、明治から昭和の初めにかけて、保養所・別荘地として発展した鎌倉を偲ぶ、貴重な資料となっています。佐藤栄作元首相が別荘として使用していたこともあり、近くに住んでいた川端康成と交流したり、小林秀雄や永井龍男もここを訪れているそうです。バラ園も結構有名で(多くの品種が栽培されており、その名前を見ていると面白いです)現在は春のバラのシーズンとなっています(下の写真のバラは“禅”と言う品種のバラです)。夏目漱石(円覚寺に参禅したり材木座に滞在したことがある)の「こころ」の直筆原稿や小林秀雄(雪ノ下に住んでいた)の直筆原稿などが展示されていたり、特別展示では現在「井上ひさし、鎌倉の日々」が行われています(昨日知ったのですが、晩年亡くなるまで鎌倉在住だったそうです)。井上ひさしさんの展示を見て面白そうだったので戯曲「円生と志ん生」(作:井上ひさし)を買って読んでいます。意外な発見もあるのでぜひ、長谷寺や長谷の大仏を見た後に興味のある方は寄ってみてはいかがでしょうか。
ちなみに前田家は侯爵の位だったそうですが、個人の別邸だと考えると、当時のお金持ちの凄さと言うか桁違いさを実感できます、“門を入ってから家に着くまでトンネルがあるってどういうこと?”とツッコミながら訪れてみるのも面白いと思います。

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