「戦争シミュレーション」猪瀬直樹著を読みました。著者の猪瀬直樹氏は1946年、長野県生まれ。1983年「天皇の影法師」「昭和16年夏の敗戦」「日本凡人伝」でデビュー。1987年「ミカドの肖像」で第十八回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。「日本国の研究」で1996年度文藝春秋読者賞を受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。2002年、小泉純一郎首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。2007年、東京都副知事に任命される。2012年、東京都知事に就任。2013年、辞任。2015年、大阪府・大阪市特別顧問に就任。2022年より参議院議員。主な著書に「土地の神話」「欲望のメディア」「黒船の世紀」「ペルソナ 三島由紀夫伝」「道路の権力」など。(表紙裏著者紹介より)
この本は、1993年に刊行した「黒船の世紀」を近年の研究成果を踏まえ学術論文として全面的に改稿したもので、150年にわたる「未来戦記」文学の系譜をたどりながら、戦争を予測する想像力がいかにして現実の戦争を呼び寄せてきたかを探る精神史的な論評です。特に日米戦争を題材とした未来戦記に焦点を当て、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世の黄禍論から始まり、ハワイ併合、白船来航、排日運動などを背景に、日米間の緊張が文学作品にどう反映されたかを分析しています。未来戦記は単なる空想ではなく、国家の危機意識や世論形成に深く関与しており、時に現実の政策や戦争準備に影響を与えてきました。著者は、こうした作品が「予測」ではなく「予告」として機能し、戦争を現実化する装置となっていたことを指摘します。未来戦記というジャンルを通じて、私たちがどのように「敵」を作り出し、「戦争」を正当化してきたのかを問い直す、鋭くも詩的な文明批評とも言える一冊です。(COPILOT作内容紹介)
たかがシミュレーション、されどシミュレーションなのでしょうか、ただの空想だとか、単なる机上の空論などと侮ってはいけないのでしょう。そこには敵がいて味方がいてストーリーがある。一度インプットされてしまうと厄介なのものなのかもしれません。私たちのような一般市民こそシミュレーションを取り扱うときは注意しなければならないようです。こういったものを取り扱うときはコツのようなものがあると思います、ありきたりではあると思いますが、他人の描いたシミュレーションを鵜呑みのせず、どんな情報によって組み立てられているか一度バラしてみて、自分の頭の中で再構築してみるようにしたりとか。間違った情報や新しい情報がインプットされるごとにきちんと更新されるように柔軟に取り扱っているか等は意識した方が良いと思います。そうは言ってもこれがなかなか難しい(自分で言っておきながらですが)・・・・よく考えてみたいと思います。