「基軸通貨のドルの落日 トランプ・ショックの本質を読み解く」中野剛志著を読みました。著者の中野剛志博士は1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学大学院に留学氏し、2005年に博士号を取得。専門は政治経済思想。「TPP亡国論」「自由貿易の罠」「国力とは何か」といった著書を通じて、以前よりグローバリズムについて警鐘を鳴らし続けてきた。近著に「奇跡の経済教室」シリーズ、「政策の哲学」などがある。(著者紹介より)
この本の内容はこんな感じです、
突然の関税措置で世界を混乱に陥れたトランプ。その背景には基軸通貨ドルに対する不満があった。アメリカの目的は国際経済システムを再編することなのだ。現在の経済システムの構造、それを生み出した潮流を踏まえ、これから到来する「覇権国家なき世界」のかたちを考察する。(内容紹介より)
経済関係の本はあまり読む方ではないのですが、3本連続で読んでみました。アメリカの関税政策を読み解くと裏にはこうした理屈があるのか・・・・・勉強になりました(あくまでもある一面から見ればこう理解できるということですが)。武器化された相互依存(weaponized interdependence)という言葉を初めて知りました。国際的な相互依存関係は互恵的であるので、相互依存関係を享受する国々は対立しなくなるとの前提があったはずなのですが、その前提はどこかへ行ってしまったようです。COPILOT氏曰く、覇権なき多極化を安定的に運営するには、合意と協調に基づく成熟した相互依存関係が必要だそうです。「和を以て貴しと為す」聖徳太子の十七条憲法の第一条に記されていますが、現代の厳しい国際関係では通用しないのかもしれません。信頼・協調・対話といった関係が、代わりに恐怖・抑止・報復が支配する関係へ歪んでしまうような世の中にならないように願っています。