鍼灸と漢方

2020年05月23日 08:56

以前、鍼灸師の資格を取るために通っていた専門学校にいた時、用事があって北里大学東洋医学総合研究所を訪れたことがあります、1972年当初から東洋医学の総合的な研究機関として、漢方と鍼灸の総合的なアプローチを続けている国内の一大拠点となっています。もちろん現代医学的な処置が必要な場合は隣接する北里研究所病院との連携がとられています。当研究所では例えば肩こり、腰痛、頭痛、膝痛など疼痛が主訴の患者がくればまず鍼灸を受けて、症状が緩和しにくければ漢方薬も併用していくそうです。(痛みのに対しては桂枝加朮附湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、附子湯など、瘀血ベースの痛みには桂枝茯苓丸、疎経活血湯窓を使うことが多い)またしびれ、耳鳴り、便秘、めまいなども漢方と鍼灸を併用する事で効果が出やすいそうです。

もちろん北里大学には医学部も存在するため現代医学との連携も進んでおり非常に理想的な環境で研究が進められている様なのですが、自由度の高い診療や研究を特徴としているため、漢方診療と鍼灸診療どちらも自由診療となっていて、現代医学との連携では混合診療という壁がある様でした。2014年から漢方診療標準化プロジェクトなども行われており、今後、保険診療との課題克服にむけて(もちろん経済性も考えなくてはなりませんが)進んでいってくれれば良いと思います。

ちなみに米国の話ですが、公的保険のメディケア・アドバンテージ保険の適応範囲が拡大されて(保険料を上げようとする悪法だとの批判もある)、カリフォルニア州の保険会社が針治療を保険適用するメディケア・アドバンテージ保険の販売を始めたことがニュースになりました。さらにマサチューセッツ州のニュースでは医療者たちは乱用で問題となっているオピオイド(慢性痛の痛み止め)の代わりに鍼治療を推奨しているが、保険会社と製薬会社からの圧力でなかなか進んでいないと伝えていたそうです。

国民皆保険制度が破綻してしまっては元も子もありませんので避けなければありませんが、バランスの取れた最適解の落としどころは何処なのか考えさせられました。(この様なシュミレーションこそAIは得意なのではないだろうか?・・)。

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