デビルマン

2020年05月15日 08:38

子供の頃からちょっと変わったクセのあるヒーローものをよく見ていて、中でも「デビルマン」永井豪作は好きでした。悪魔(デーモン)界のエリートだったデビルマン(もともとアモンという悪魔だった)が、悪魔界を捨て(裏切って)人間の味方になる設定が変わっていて面白かったからかもしれません。ちなみにデーモンとは、もともとギリシャ語の超自然的・霊的存在を表すダイモンに由来していて、“神”“神の力”の同義語として扱われていたのですが、キリスト教の時代になって今日の様な悪霊や悪魔とされるようになったそうです。

実はテレビアニメのデビルマンと週刊少年マガジンに掲載された漫画版とはかなり違った内容になっています。漫画版はヒーローものではなくホラー作品になっていて、ダンテの「神曲・地獄編」の中の氷漬けの悪魔に影響を受け描かれています。TVアニメでは“悪魔VS悪魔を裏切った悪魔(デビルマン)”という図式だったのですが、漫画版は“悪魔VS悪魔を乗っ取った人間”の図式に変わっています。

漫画版のあらすじは、他の生物と合体する能力を持った地球の先住人類であったデーモンが、200万年の眠りから覚めて復活して地球を人類から取り戻そうとして戦いが始まるのですが、主人公の不動明は(意志の強さで)悪魔に心は乗っとられず人間の心と悪魔の身体を持つデビルマンとしてとして悪魔と戦うというストーリーになっています。漫画版では悪魔は人間の心の弱さを研究し、無数の悪魔が人間になりすまして人間界を乗っ取ろうとしていると扇動して、人間同士で悪魔狩りをさせて自滅させようとする、中世の魔女狩りをイメージさせる様なシーンも出てきます。その作戦に人間は簡単に引っかかってしまい、次々と関係ない人間を拷問にかけて殺していきます。

永井豪さんは漫画版は反戦もテーマにしていると語っていますが、見えない敵“ウイルス”を相手にしている現在、不安や恐怖によって差別や偏見が入り込む隙間が生じてしまう事に通じるものがあるのではないかと思っています。こうした大変な状況で心に隙を作らない精神力を持つことは難しいですが、自分の心の弱さを忘れないように心掛けたいと考えています。

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