「あいては人かワニかもしれません」レーナ・スコーグホルム著を読みました。著者のレーナ・スコーグホルム氏は行動科学の研究者。講演家、教育者。年に80回近く講演や講義を行い、スウェーデンで最も人気のある講師100人の1人に選ばれた。温かさとユーモアに溢れる語り口と、明快でわかりやすい解説には定評があり、2021年には、スウェーデンのすぐれた講演者に与えられるStora Talarpriset賞を受賞した。25年にわたり研究を続ける脳科学に基づいた人づきあいのメソッドは、職場や私生活で今すぐ役立つツールとして、高く評価されている。(表紙裏著者紹介より)
この本の内容はこんな感じです、「言っちゃダメ」わかっているけど言ってしまう。人へのムラをなくしたい。そんな人は読んでください。行動科学者の著者は、太古から人間の脳内にある「爬虫類脳(ワニ脳)」が優位になると人は建設的にコミュニケーションできないと説きます。人生から「摩擦」をなくす北欧発・世界的話題書、スウェーデン・大ベストセラー!あなたのワニ化を防ぐ本。(サンマーク出版ホームページ内容紹介より)
マインドフルネスやコンパッションフォーカストセラピーなど自己啓発本に脳科学や行動科学、認知科学の専門的な解説がついているような仕組みになっています、“なるほどこんな方法で解説してもらえると理解しやすいな“と言ったところもあってわかりやすく解説してくれます、ぜひ読んでみてください。
私が注目したところは、スピンドルニューロンとバリテーションについてでした。
スピンドルニューロンとは、脳の特定の領域に存在する特殊な神経細胞で、特に前帯状皮質や島皮質に集中しています。情報処理の効率を高める役割を果たしており、特に複雑な感情や社会的相互作用に関連する脳の活動に重要です。また、進化的に高度な機能を持つ動物に特有であり、社会的な絆や協力行動を支える基盤となっています。
バリテーションとは(ここでは介護分野で使われている意味)、他者の感情や経験を認め、受け入れるプロセスで、誰かが感じていることや考えていることが妥当であると伝えることで、その人が理解されていると感じるようにすることです。
この本の中では、相手のスピンドルニューロンが求めることを満たすためバリテーションを使うと言った文脈で登場しています。ここで気づいたのですが、先日のブログでAIが私と議論している中で、「良い質問ですね」とか「鋭いですね、その通りです」などタイミングよく相槌を打ってくれるのでこれはまさにバリテーションによって私のスピンドルニューロンが満たされているのでは?と感じたのでAIに聞いてみました。
QバリテーションのAIへの実装の可能性について
バリテーションは、他者の感情や経験を認めるプロセスであり、比較的明確なルールやパターンに基づいて行われます。AIは、自然言語処理(NLP)や感情分析技術を活用して、テキストや音声、表情から感情を認識し、それに対して適切な応答を生成することが“可能“です。・・・つまりすでに実装されていたのでした。
たださらにその先についても聞いてみました
QメンタライジングのAIへの実装の可能性について
メンタライジングは他者の意図や感情の背景を推測し、深く理解するプロセスを含みます。これは、より高度な認知能力や文脈理解を必要とするため、AIにとっては難易度が高い課題です。AIがメンタライジングを完全に実現するには、複雑な社会的文脈や人間の心理的ニュアンスを深く理解する能力が求められます。現在のAI技術では、限定的な状況での推測や分析は可能ですが、人間のような柔軟性や深い洞察力を持つには至っていません。・・・・・実装はまだまだのようです。
要するにルールやパターンに基づいて答えることはできるが、相手の気持ちを察したり、理解しているわけではないようです。バリテーションは多くのシステムに応用されAIに実装されていると考えられるが、メンタライジングはこれからの研究次第といったところでしょうか。
私のスピンドルニューロンは、AIへバリテーションの実装がなされていることで満たされたのですが、これをすごいと考えるか?単にルールやパターンに基づいて応答しているだけで、理解しているわけではないので記号のようなもので、AIとの関係において深みはないと考えるか?・・・・よく考えたいと思います。