陸軍中将 樋口季一郎の遺訓

2025年02月19日 19:33

「陸軍中将 樋口季一郎の遺訓」樋口隆一著を読みました。著者の樋口隆一博士は、音楽学者、指揮者であり、西ドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲンで哲学博士号を取得。明治学院大学の助教授、教授、文学部長を歴任し、2015年に退任して名誉教授となる。研究分野はバッハとシェーンベルグを中心とする西洋音楽史であり、指揮者や音楽評論家としても活動しています。樋口隆一博士の祖父は樋口季一郎中将であり、祖父の生涯についても研究しています。(COPILOTより)

樋口季一郎陸軍中将は、日本の陸軍軍人であり、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人難民を救ったことで知られています。満洲国でハルビン特務機関長を務めていた際、ナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ難民に対して人道的な支援を行いました。彼は「ヒグチ・ルート」と呼ばれるルートを確立し、数千人のユダヤ人を救出しました。さらに、ソ連軍の北海道侵攻を阻止するために尽力し、北海道を守った功績もあります。(COPILOTより)

この本は、樋口隆一博士が編著した本で、樋口季一郎中将の生涯と功績を詳しく記録しています。樋口中将が戦後に書き溜めた回想録やエッセイを基にしており、人道主義的な行動や軍人としての経験が詳細に書かれています。特に、満州でのユダヤ人難民救出やキスカ島からの奇跡の撤退、そしてソビエト連邦の北海道侵攻を阻止したエピソードが含まれています。樋口中将の生涯や活動、戦後の見解などが多岐にわたって記され、現代に伝えるための貴重な資料となっています。(COPILOTより)

情報将校としてドイツ語やロシア語に通じ、ハバロフスク・ハルビンの特務機関長やポーランド公使館付武官を歴任していることから、ソ連(ロシア)やヨーロッパ、中国などの考察は、外交官からの視点ではなく軍人としての視点で描かれており、特にロシアに対する考察は歴史的な経緯も含めて現代のウクライナ戦争に通じるところもあり非常に読み応えのあるものでした。描かれた時代背景は戦後間もないものであり、現代からすると軍人の考え方とは、こういったものなのだなあと感じるところもありました。晩年にはトルストイの「アンナ・カレーニナ」を原書で読んでいたという樋口中将、北鎌倉にある円覚寺に塔頭・龍院庵に顕彰碑が建立されているようなので行ってみようかと思っています。

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