「新・幕末史 グローバルヒストリーで読み解く 列強vs日本」を読みました。
これはNHKスペシャル 新・幕末史 グローバルヒストリー
・「第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機」(2022年10月16日放送)
・「第2集 戊辰戦争 狙われた日本」(2022年10月23日放送)
上記の特集番組を起点として独自の視点を加えて、新たに書き下ろしたものです。
この本は、最新の研究と機密文書を基に、多角的な視点から幕末の出来事を分析している点が特徴です。これにより、従来のナショナルヒストリーとは異なる、新しい視点が提供されています。幕末期の日本を世界の一部として捉え、薩長軍や幕府軍の政策の背景に存在した列強の介入や支援を詳細に紹介し、欧米列強の影響力や各国の戦略を詳細に描き出しています。イギリス、ロシア、フランス、プロイセンなどの列強が日本に与えた影響、並びにこれらの国々の狙いについて深く掘り下げています。日本はなぜ列強の覇権争いの中で独立を維持できたのか?黒船来航から戊辰戦争までの激動の16年の期間を、グローバルヒストリーの視点で再評価しています。(COPILOTによる内容紹介)
どこかで何かを一歩間違っていたら・・・グローバルヒストリーの視点で見れば、日本の植民地化は紙一重だったのではないかと思われます。欧米列強のグレートゲームを利用してうまく乗り切ったようにも見えますが、場当たり的にその都度起きる問題に対処していたら結果的にそうなったようにも見えます。欧米列強の思惑は何か、それを推察し引き出し、全体像として情報を整理することがカギだったのではないでしょうか。考えてみれば鎖国といってもオランダとは貿易が続いていて、世界がどういうことになっているかは情報として幕府は把握していたと思うのですが。世界を知るために、直接情報を得るために、もっと早く手を打つことはできなかったのでしょうか?
「幕府の命運に限りがあるとも、日本に命運に限りはない」日米修好通商条約批准(1860年)の使節に抜擢された小栗忠順の言葉だそうです。大国の思惑に翻弄され、覇権争いに直面しながらも、列強の影響を抜け出す努力を続けたのは、薩摩や長州だけでなく、旧幕臣たちも同様に挑んでいたことがわかる一冊です。