「CAN’T HURT ME」デイビッド・ゴギンズ著を読みました。著者のデイビッド・ゴギンズさんは、退役海軍特殊部隊員(ネイビーシール)。米軍でシール訓練、陸軍レンジャースクール、空軍戦術航空管制官訓練を完了した、たった一人の人物である。これまでに60以上のウルトラマラソン、トライアスロン、ウルトラトライアスロンを完走し、何度もコース記録を塗り替え、トップ5の常連となっている。17時間で4030回の懸垂を行い、ギネス世界記録を更新した。スポーツにおける業績で国際スポーツ殿堂に殿堂入りし、2018年にはアメリカン・レジオンズ・アワードを受賞。講演者としても引っ張りだこであり、全米の大企業の社員やプロスポーツチームのメンバー、数十万人の学生に、自らの人生の物語を語っている。(表紙裏の著者紹介より)
この本は、デイビッド・ゴギンズさんの自伝であり、彼の困難な幼少期からアメリカ軍のアイコンとなり、世界トップクラスのアスリートになるまでの旅を描いています。著者は貧困、偏見、虐待などの厳しい困難に直面しながらも、アメリカ空軍に入隊し、その後海軍SEALとなり、重大な身体的及び精神的な挑発を克服しました。さらに、彼はウルトラ耐久スポーツに取り組み、多くのウルトラマラソンやトライアスロンに参加し、驚異的な偉業を達成しました。中心的なテーマである「40%ルール」は、自分が限界だったと思った時、実際には、自分の能力の40%しか発揮していないという考えであり、このマインドセットが著者に驚異的な偉業を達成させました。彼の物語は、人間の精神力と、認識された限界を超える能力の証であり、挑戦を乗り越え、自分の目標を達成したいと考えている人にとって、非常にインスピレーションを与える一冊です。(COPILOTによる要約より)
新年最初の一冊になるので、型破りな人間の熱くなる物語を読みたくて選びました。デイビッド・ゴギンズさんはまさに“badass“(クソヤバいやつ)でした。読んでいる途中であまりにも型破りの度が過ぎていてついていくのがやっとでした。検査で発見されず気づかなかったとはいえ、心房中隔欠損(ASD)でダイビング?ウルトラマラソン?トライアスロン?えーと・・・考えられません。クソヤバすぎるのにも程があります。ただトップアスリートとしての限られた人の雲の上の話かというとそうでもなくて、ゴギンズさんは何度も失敗を経験し、冷静に分析して、戦略を練り、取り組み方を修正して、あきらめず最後には目標を達成します。この削られない心、前進する精神は全ての人の心に訴えかけるものがあります。火事場の馬鹿力と言いますが、私自身も自分の限界を超えたかもしれないと思う瞬間がありました。フルマラソンに出場していて、最終関門のゲート閉鎖時間が迫っていてかなり頑張らなければ失格になりかかった時、30kmを超えてすでに失速していたヘロヘロな自分の壁を少し乗り越えたような感覚を感じました(無事ゴールしましたが、ゴール後に両足を攣って車椅子で運ばれましたが)。ゴギンズさんのクソヤバい武勇伝の話はエピソードとして登場しますが、アスリートではなくとも意外にゴギンズさんの言っていることはすんなり納得できます。内容としてはどちらかというと体力に自信がある人向けのCBT(Cogunitive Behavioral Therapy)認知行動療法のガイデッド・ディスカバリー(ソクラテス式質問ともいう)という技法を取り入れているような内容になっています。「削られない心、前進する精神」は「Master Your Mind and Defy the Odds」を訳したものだと思いますがこの言葉は心に残りました(翻訳者の櫻井祐子さんNice訳だと思います)。今後、心が折れそうになった時に思い出したいと思います。
CBTで思い出したのですが、ちなみに私はもともと鍼灸治療院を開業していたのですが、そこで研究したいと思っていたのがフェルデンクライスメソッドで、これはモーシェ・フェルデンクライス博士(ヨーロッパ人の中で初めて柔道の黒帯を取得した人でもある)によって創始された身体教育法で、心地よい体の動きを通じて脳を活性化し、自然で質の高い動きと機能を身につけることを目的としたものです。レッスンの中でATM(Aweareness Through movement)という動作レッスンがあるのですが、これを一歩進めてCBT認知行動療法からヒントを得てCSST認知体性感覚療法というものはできないかを考えていました。残念ながら治療院は閉鎖になり研究途中で断念することになりましたが、しかし、今後、若い鍼灸師の方がこうした考えを進めてもらえることを期待しています。