「団地のふたり」藤野千夜著を読みました。著者の藤野千夜さんは、福岡県出身、千葉大学教育学部卒。95年「午後の時間割」で第14回海燕新人文学賞、98年「おしゃべり怪談」で第20回野間文芸新人賞、2000年「夏の約束」で第122回芥川賞受賞。その他にも「ルート225」「編集ども集まれ!」「じい散歩」「じい散歩妻の反乱」「時穴みみか」など多数。「ルート225」は映画化、漫画化されています。(著者紹介より)
内容はこんな感じです、イラストレーターながら今はネットで不用品を売って生計を立てているなっちゃんこと奈津子。大学の非常勤講師を掛け持ちして生活するノエチこと野枝。そんな幼なじみの二人は50歳を迎え、共に独身。生家の築古団地でそれぞれ暮らす。奈津子の部屋で手料理を一緒に食べ、時にはささいなことでケンカもする。高齢のご近所さんのために、二人で一肌脱ぐことだってある。平凡な日々の中にある小さな幸せや、心地よい距離感の友情をほっこりと優しく描いた物語。(裏表紙内容紹介より)
テレビドラマ化されており、NHK BS NHK BSプレミアム4K「プレミアムドラマ」枠で放送されていました(10月20日に終了)。ちなみに小説を読み終わった後にWikipediaで調べたら、太田野枝役が小泉今日子さんで、桜井奈津子役が小林聡美さんであることを知って驚きました。小説を読んだ印象からノエチが小林聡美さんで、奈津子が小泉今日子さんかと勝手に思っていました。ドラマは観ていなかったのですが、頭の中で出来上がってしまったイメージとどんな感じで違うのか、再放送があったら観てみたいと思います。
ノエチと奈津子の関係が、適度な距離感を保っている熟年夫婦みたいで、ほのぼのするというか・・・羨ましいというか・・・いい感じだなあと思います。長続きする人間関係とはこういうものなのかもしれません。50代独身である私は、50歳独身のお二人の生き方は見習わせていただきたいと思います。前のめりに頑張りすぎず、自分をよく知り・よく活かし、できる範囲のことをコツコツ続けていく。あわてず、さわがず、したたかに、小さな幸せを積み重ねる。団地は老朽化し、景色は変わり、人は入れ替わり、世の中は移りゆく・・でも人生いろいろ、人もいろいろ・・こんな生き方もなかなか良いものですよと言っているようなお話です。50代独身の方にはおすすめの一冊です。