「人生はそれでも続く」読売新聞「あれから」取材班著を読みました。読売新聞社会部あれから取材班とは、過去のニュースの当事者に改めて話を聞き、その人生をたどる人物企画「あれから」を担当。メンバーは社会部の若手記者が多い。人選にこだわり、取材期間は短くても三ヶ月。一年近くかけることもある。二〇二〇年二月にスタート。ネット配信でも大きな反響を呼び、連載継続中。
この本は、過去に日本中が注目したニュースの当事者たちの「その後」を追った連載記事をまとめたものです。
・赤ちゃんポストに預けられた男児
・本名「王子様」から改名した十八歳
・バックドロップをかけた対戦相手の死に直面したプロレスラー
・日本人初の宇宙飛行士になれなかった女性
・万引きで逮捕された元マラソン女王・・・・これらの人物の人生を長期にわたって取材し、意外な真実や感動的なドラマを明らかにしています。ニュースの当事者だけでなく、その周囲の人々の証言も交え、当事者の歩んできた道をリアルに書き出しています。(COPILOTによる内容紹介)
これまでブログでは、「ある行旅死亡人の物語」共同通信社会部著、「母さんごめん、もう無理だーきょうも傍聴席にいますー」朝日新聞社会部著、と記者の方々が丹念に時間をかけて取材した記事をまとめたものを読んできました。今回の本も、ニュースの当事者たちのその後を同様にじっくりと丁寧に取材した記事をまとめたものです。ちなみに調査報道とは、報道機関が主体的に取材・調査を行い、独自に新たな事実を明らかにする報道スタイルのことで、例えば、政府の汚職や企業の不正行為を暴露する記事や、社会問題に深く切り込む特集などがあります。これは、単に発表された情報を報道するのではなく、記者が自らの足で情報を集め、継続的に調査を行うことで、隠された事実や不正を暴くことを目的としています(COPILOT調べ)。隠された事実を明らかにしたり、巨悪の不正を暴いたりしたわけではないのですが、これまでに読んだ3冊では、身元不明の故人の人生を取材したり、一般人ではあまり関わることの少ない裁判所の傍聴席での取材だったり、一時期話題になったものの、今では話題にのぼらなくなった人々のその後の人生の取材などが取り上げられていました。日々忙しくネットニュースの見出しをチェックするので精一杯のような生活を送っているものにとっては、こうした普段はあまり関心の向かないところにスポットを当てる報道は(調査報道の一つと言っていいと思うのですが)、本当に必要なことだなあと感じます。報道記者取材シリーズ3冊それぞれ、考えさせられる・・・考えさせられる種のようなものを与えてくれる内容ですぜひ読んでみてください。