国家の総力

2024年07月24日 15:38

「国家の総力」兼原信克・高見澤將林著を読みました。著者の兼光信克さんは、山口県出身で、東京大学法学部を卒業後、1981年に外務省に入省。キャリアは多岐にわたっており、国際法、安全保障、ロシアとの領土問題などを専門としています。特に、2012年から2019年まで内閣官房副長官補を務め、その後、国家安全保障局次長を兼務しました。現在は、同志社大学の特別客員教授として教鞭をとりながら、笹川平和財団の常務理事も務めています。高見澤將林さんは、長野県出身で、東大法学部を卒業後、1978年に防衛庁(現:防衛省)に入省。キャリアは多岐にわたっており、防衛政策課長、運用企画局長、防衛政策局長、防衛研究所などの要職を歴任しました。2013年から2016年まで内閣官房副長官補(安全保障担当)を務め、その後、国家安全保障局次長を兼務しました。2016年から2020年まで軍職会議日本政府代表部大使を務めました。現在は、東京大学公共政策大学院客員教授として教鞭をとっています。(Copilot作)

この本は、兼光氏と高見澤氏がホスト役となり、すでに政府を退官された各省庁(経済産業省、農林水産省、国土交通省、総務省、財務省、海上自衛隊、海上保安庁)の最高幹部の方々を招いて、政府を離れた自由な立場から議論して頂いた記録です。21世紀前半の日本外交の最大の課題は、巨大化した中国を前に、台湾海峡の現状を維持し、平和と安全を保つことであるとして、日本が直面する安全保障の課題を多角的に分析し、1、エネルギーと食料安保 2、シーレーン防衛 3、特定公共施設と通信 4、経済・金融への影響 の4章に分けて有事に備えるための総合的な戦略を提案しています。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」は『孫子』の一節です。台湾有事は21世紀前半の日本外交の最大の課題だそうです。相手の状況や自分の能力について正確に理解するためには、総合的に有事を想定し、問題点を浮き彫りにして備えておかなければならない。もしも台湾有事が起こったら・・・こうしたことは他人事ではなく考えておかなければならないと感じました、内容については読んでみてください。しかし、いわゆる太平洋戦争開戦時に、日本政府には間違いなく負けるだろうとのレポートがありました。計算上では負ける戦争を始めた歴史があります。彼を知り己を知っていても危ういことはある。考えてみれば損得勘定で考えれば戦争なんて起こるはずはないでしょう。

彼を知り己を知れば・・・百戦殆からずではなくこうなるのでは・・・・

「百戦百勝は善の善なる者に非ず」は『孫子』の『謀攻篇』に由来。
競争を避けて協力や共存を目指すことが最も効果的なのでしょう。

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