「奪還」城内康伸著を読みました。著者の城内さんは、中日新聞社入社後、ソウル支局長、北京特派員などを歴任し、海外勤務は14年に及ぶ。論説委員を最後に2023年末に退社し、フリーに。著書に『シルミド 実尾島事件の真実』『猛牛(ファンソ)と呼ばれた男「東声会」町井久之の戦後史』『昭和二十五年 最後の戦死者』(第20回小学館ノンフィクション大賞優秀賞)『金正恩の機密ファイル』など。(表紙裏 著者紹介より)
本の内容はこんな感じです、太平洋戦争の敗戦で朝鮮半島北部の邦人は難民に。飢餓や伝染病で斃れゆく老若男女の前に忽然と現れ、ソ連軍の監視をかいくぐり、母国へと導く男ー彼はかつて国家から断罪されたアウトサイダーだった。時間も資金も情報もない中で、頭脳と度胸を駆使して38度線を突破し、「集団脱出工作」を成功させた実話。見返りを求めず、日本人難民6万人を救った松村義士男という、もう一人の杉原千畝と言われる男の物語です。(Amazonの内容紹介文より)
〜難民というニュースは毎日よく耳にしますが、日本人も80年ほど前には何万人もの難民がいたことを考えると平和のありがたみを感じます。杉原千畝や今回登場する松村義士男などを言い表すときに「頭の回転が速い人」や「頭が良い人」というよりも「頭の切れる人」という表現がピッタリくるような気がします(ちなみに最近あまり「頭が切れる」という表現を聞かないのですが、「キレる」という我慢の限界を超えたという意味と紛らわしいからなのでしょうか?)。知識を備え、判断力を磨き、協力者のネットワークを構築し、絶えず日頃から備え、ここぞという時に一点集中で切れ味を発揮する。適切なタイミングで、適切な場所で、まさに「シュッ」と音が聞こえるような切れ味です。こういう人材を最近はあまり見かけなくなった気がしますが(特に組織内には)、気のせいでしょうか?・・・あまりに効率を追い求め、杓子定規に物事を考える社会になってしまうとアウトサイダー的な人材は不必要になっていくのかもしれません・・・・考えてみたいと思います。