教養としての歴史小説

2024年06月12日 15:00

「教養としての歴史小説」今村翔吾著を読みました。著者の今村翔吾さんは小説家兼書店経営者でもあります。小学校5年の時に奈良市の古書店で、池波正太郎の「真田太平記」(結果的に母親に買ってもらったそうですが、これ全16巻で1万円近くしたそうです)に出会ったことをきっかけに歴史小説に没頭。中学生になると歴史小説家に憧れて月30〜40冊ほど歴史小説を読み込んでいたそうです。20代は実家でダンスインストラクターとして活動していましたが、小説家になるという夢を持ち続け、2015年退路を経って歴史小説家を志し、埋蔵文化センターで働きつつ執筆活動と文学賞への応募を始めています。ついに2016年、32歳で「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」でデビューを果たします。羽州ぼろ組シリーズは第6回吉川英治文庫賞を受賞。2022年には「塞王の盾」で第166回直木三十五賞を受賞した他、多くの文学賞を受賞されています。

この本では、教養という視点から歴史小説について語っています。“はじめに”には著者本人の経験が書かれていますが「私は、教養を高める最も有力な手段は、歴史に学ぶことだと思っています・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・人としての生き方や振る舞い方、人情の機微などは、ほとんど歴史小説から学んだといっても過言ではありません」、つまりそんな歴史小説の読書量に関しては誰にも負けないと自負している『歴史小説マニア』の視点から、歴史小説というジャンルについて掘り下げ、得られる教養の中身やおすすめ作品まで細かく紹介してくれる本になっています。

今村翔吾さんが執筆された作品の中で読んだものは「塞王の盾」のみなので、にわかファン中のにわかファンなのですが、歴史小説と時代小説の中間あたり、歴史エンターテインメント小説といった面白さを感じました。視覚効果の進化を考えると映像化も期待できるのではないかと思います。Netflixの「イクサガミ」期待しています。今回の本を読んで、そういえば歴史小説はあまり読んで来なかったなあと反省しています。「武田信玄」新田次郎著や「大義の末」城山三郎著は読んでみたいと思っています。

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