「ゴジラ−1.0」に引き続き映画を観に行ってきたシリーズ第2弾です。今回は辻堂(109シネマズ湘南)まで自転車で行ってきました。自転車だと結構早くついてしまったので、あまり運動にはならなかったかもしれませんが、今後、ぶらぶら映画を観に行く散歩コースはお気に入りの散歩コースになりそうです。
「オッペンハイマー」は2023年より公開されている、世界初の原子爆弾を開発した「原爆の父」として知られる理論物理学者ロバート・オッペンハイマー博士の生涯を描いたアメリカの伝記映画です。ちなみに公開から約2ヶ月後に興行収入9億1200万ドルを記録し、伝記映画では歴代1位、第二次世界大戦を扱った映画としても歴代1位となりました。(日本での公開は当初未定だったが2024年3月29日に半年以上遅れて公開になっています)
オッペンハイマー博士についてざっと説明すると、理論物理学の広範な領域にわたって大きな業績を上げています。特に第二次世界大戦中のロスアラモス国立研究所の初代所長としてマンハッタン計画を主導し、卓抜なリーダーシップで原子爆弾開発の指導的役割を果たしたため、「原爆の父」として知られています。戦後は原爆の破壊力や人道的影響、倫理的問題に関心をもち、核兵器は人類にとって巨大な脅威であり、人類の自滅をもたらすと考えたため、核軍縮を呼びかけ、原子力委員会のアドバイザーとなってロビー活動を行い、かつソ連との核兵器競争を防ぐため働きました。(Wikipedia調べ)
人類史上初めて、なおかつ世界で唯一核兵器が実戦使用された国「日本」と実戦使用した国「アメリカ」それぞれの国ではこの映画の受け止められ方は違うのかもしれません、しかしオッペンハイマー博士の生涯をこの映画で体験してみて、最後に心に残るものは人類に共通した何かではないかと感じました。3時間を超える長い映画ですがぜひご覧になってみてください。私の場合、映画では分かりにくいところがあったので「オッペンハイマー『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」カイ・バード マーティン・シャーウィン著(PHP研究所2007年)も合わせて読みました。
その本の中で博士が行った講演を記録したエッセイ集から引用された部分がありましたので、最後にその部分を抜粋したいと思います。
「外交政策分野におけるわが国の目的は、威圧によっては実質的または永続的には達成することはできない。このことをわれわれは知っていると思うし、何度も何度もこの考えに立ち戻っていると思う」。強大で核武装した米国は、一方的に行動できると考える人々への潜在的な非難を込めてオッペンハイマー博士は唱えた。「声を上げないもの、評価不能なもの、未知なるものに対して正義を行うという問題は、もちろん政治だけに特有の問題ではない。それは科学において常につきまとう問題であり、それはどんなにささいな個人的できごとにもつきまとう問題であり、それは文学やあらゆる形式のアートにおける大きな問題の一つである。それが解決される手段は、時にスタイルと呼ばれることがある。それは、確信を制約と謙遜で補うスタイルである。それは、絶対的にではなく、効果的に行動することを可能にするスタイルである。それは、外交政策の分野において、われわれに緊急目的の追求と、その問題を別の局面から見ている人たちの、見解、感受性、願望に対する配慮との調和を発見させるスタイルである。それは、行動する際に不確実さに対して払うべき敬意のスタイルである。そして何より、権力が理性に対して払うべき敬意のスタイルである。」
米国だけでなく核保有国の指導者は何を思うのだろうか?・・・・・・・考えてみたいと思います。